AIが答えられなかった質問を、Q&Aに育てる手順
未回答は、まだ書いていなかったことの一覧
AIの受付を使い始めると、会話ログに「答えられなかった質問」が並ぶようになります。「土曜の午後は何時まで受付していますか」「保育のスタッフはいますか」「金属アレルギーがあるのですが、大丈夫でしょうか」。見慣れない質問が並んでいると、AIがうまく働いていないように感じるかもしれません。
けれども、医院が確認した情報をもとに答える仕組みなら、答えられないのは、医院がまだその答えを渡していないからです。分からないことを分からないと返して、お電話や折り返しを案内した記録が、未回答として残っている。そう考えると、未回答の一覧は、患者さんが知りたかったのにホームページにもQ&Aにも書いていなかったことの一覧になります。
この一覧を少しずつQ&Aに変えていくと、患者さんの言葉に合った答えが増えていきます。その手順を、受付で回しやすい形で紹介します。
見る時間を、毎日の決まったところに置く
未回答の確認は、まとまった時間を取ろうとすると後回しになりがちです。開院前の準備が終わったあと、昼休みの最初、診療後の片付けの前など、毎日だいたい同じところに短い時間を置くほうが続きます。
ためてしまうと、一件ずつの事情を思い出せなくなるのも困りどころです。前の晩に届いた質問なら、同じ患者さんから受付に電話があったかどうかも覚えています。週に一度まとめて見ると、そうした手がかりが抜け落ちてしまいます。
見る人も決めておきます。受付が複数いる医院なら、曜日ごとに担当を回してもかまいません。誰も見ていない日が続くと、同じ質問が未回答のまま積み重なっていきます。
見るときは、質問の文だけでなく、その前後の会話にも目を通します。患者さんが最初に何を聞き、どこで答えが返ってこなかったのかが分かると、答えに何を書けばよいかがはっきりします。その患者さんがそのあと予約まで進んだのか、途中でやめたのかも、どの質問から答えを書くかを決める手がかりになります。
答えを書く前に、三つに仕分ける
未回答を開いたら、いきなり答えを書き始めず、まず三つに仕分けます。一つめは、医院で答えが決まっていて、書けば済むもの。土曜の受付時間や、保育のスタッフがいるかどうかがこれにあたります。こうした質問は、そのままQ&Aに足していきます。
二つめは、症状や治療の相談で、文字では答えないと決めておくものです。金属アレルギーの質問や、「この痛みは何ですか」といった相談は、受付が答えを書くものではありません。お電話か診察で相談していただく、という案内をQ&Aとして用意しておけば、次に同じ質問が来たときにも同じ案内ができます。
三つめは、医院として答えるかどうかをまだ決めていないものです。料金の細かい内訳や、ほかの医院で治療中の歯についての相談、取材や営業の問い合わせなど。こうした質問は受付で抱えず、院長に回して扱いを決めてもらいます。決まったら、一つめか二つめに移します。
仕分けに迷う質問は、無理にどこかへ入れず、迷った理由を一言メモして院長に回します。「保険が使えるかどうか受付では分からない」「家族の予約を代わりに確かめたいという問い合わせ」のように理由が書いてあれば、院長も判断しやすくなります。
書いたら、別の聞き方でも試してみる
答えを書くときは、未回答に残っていた質問の言葉をそのまま質問文に使います。患者さんの言葉で書いておくと、同じように聞いてくる次の患者さんにも答えが届きやすくなります。答えは一文目で聞かれたことに返し、補足はそのあとに続けます。
登録したら、同じ内容を別の言い方で聞いてみます。「保育のスタッフはいますか」と登録したなら、「子どもを預けて治療を受けられますか」「赤ちゃん連れでも大丈夫ですか」とも聞いてみる。思った答えが返ってこなければ、言い換えを質問文に足すか、答えの書き方を見直します。
もう一つ確かめたいのが、ほかの答えとの食い違いです。新しく書いた答えと、前からあるQ&Aやホームページの表記が違っていると、患者さんは迷います。土曜の受付時間を書き足したら、診療時間のQ&Aも同じになっているかを見ておきます。
増えたQ&Aを、ときどき見直す
未回答を育てていくと、Q&Aは少しずつ増えていきます。増えるほど、古くなった答えも混ざりやすくなります。長期休みの前や季節の変わり目など、見直す時期を決めて全体を流し読みし、もう使わない答えや、言い回しの古い答えを直しておきます。
未回答が減ってきたら、医院の情報が患者さんの質問に追いついてきたということです。反対に、新しい診療を始めたあとや、ホームページを変えたあとに、未回答が増えることもあります。数の増減より、どんな質問が増えたかを見ておくと、次に書き足すことが分かります。
Q&Aを直したら、そのことを受付の中で共有しておきます。チャットでは新しい答えを返しているのに、電話では前の答えを伝えている、ということが起きないようにするためです。朝の打ち合わせで一言伝えるだけでも、答え方はそろいます。
DentHub では、会話ログの未回答に、その場で回答を登録できます。登録した答えは、会話テストで答え方を確かめることもできます。AIは医院が登録したQ&Aを最優先に参照して答えるので、受付で育てたQ&Aが、そのまま患者さんへの返事になっていきます。
