受付の電話が減らないとき、まず問い合わせの中身を分けてみる
電話の本数を数えても、打ち手は決まらない
開院してすぐ、まだ最初の患者さんを診療室へ案内していないうちに受付の電話が鳴る。受話器を取ると「今日の午後、空いていますか」。切ったと思ったら、次は「駐車場はありますか」。昼休みの直前にも、夕方の診療が混み合う時間帯にも、同じことが起きる。受付の電話が多いという悩みは、たいていこうした場面の積み重ねです。
電話に出ているあいだ、窓口の前では会計を待つ患者さんが立っていて、診療室からは次の患者さんの準備を頼む声がかかる。一本の電話は短くても、そのたびに手元の仕事が止まり、戻ったときにどこまで進めていたかを思い出すところから始まります。受付の負担として効いてくるのは、通話の長さより、この中断の回数です。
電話が多いと感じたとき、まず思いつくのは、人を増やすか、電話に出る時間を決めるかのどちらかだと思います。ただ、本数だけを見ていると、どの電話を減らせて、どの電話は減らしてはいけないのかが分かりません。予約の変更も、初診の費用の質問も、歯ぐきが腫れたという相談も、受付から見れば同じ一本の電話です。
打ち手を決めるには、電話の中身を分けて見る必要があります。難しい集計は要りません。受付の机に紙を一枚置き、数日のあいだ、電話を切るたびに用件を一言だけ書いてもらう。それだけでも、どんな電話が多いのかの見当はつきます。
問い合わせは、三つに分けると見えやすい
書き出した用件を眺めると、だいたい三つに分かれます。一つめは予約にまつわるもの。新しく予約を取りたい、日時を変えたい、キャンセルしたい、空いている枠を知りたい、といった電話です。
二つめは、ホームページや院内の掲示に書いてあることの確認です。診療時間、休診日、駐車場の有無、初診にかかる費用の目安、子どもを連れて行ってよいか。答えは医院の中ではもう決まっていて、受付の誰が出ても同じ答えになる問い合わせです。
三つめは、症状や治療についての相談です。詰め物が取れた、歯ぐきから血が出る、治療の途中で痛みが出た。患者さんの状態を聞き取り、必要なら歯科医師に確かめてから返すもので、受付だけで答えを決めてよい電話ではありません。
三つの割合は医院ごとに違うので、ここは自院の紙で確かめてください。一つめと二つめが多ければ、電話以外の窓口へ移せる余地があります。三つめが多ければ、受付の負担というより、相談をどう受けるかという体制の話になります。
電話のまま残す問い合わせを、先に決めておく
電話を減らす話をすると、どうしても「何を電話以外にするか」から考えがちです。順番を逆にして、電話のまま残すものを先に決めておくと、受付も院長も迷いにくくなります。
残したいのは、三つめの相談のうち急ぎのものです。強い痛みや腫れ、けが、治療中の歯のトラブルは、話を聞いて当日の受診につなぐかどうかを決める場面で、文字のやり取りでは時間がかかりすぎます。電話で受けると決めておけば、ほかの窓口に同じ相談が来たときにも「お電話ください」と迷わず案内できます。
もう一つ残しておきたいのが、電話を使い慣れた患者さんの窓口です。チャットやLINEに慣れていない方にとって、電話は慣れた連絡手段です。電話以外の窓口を作るのは電話をなくすためではなく、電話でなくてもよい用件をそちらへ移すためだと考えておくと、患者さんへの案内もぶれません。
決めたことは、受付の全員で同じ言い方にそろえておきます。予約の電話を受けたときに「次からはLINEでも予約できます」と一言添える。急ぎの相談がチャットに届いたら、電話をお願いする返事の文を用意しておく。院長が方針を決めても、受付の一人ひとりの言い方がばらばらだと、患者さんには伝わりません。
移す先は、患者さんが電話をかける前に目に入る場所に
一つめの予約と二つめの確認は、電話以外の窓口に移しやすい用件です。ただし、窓口を用意しただけでは電話は減りません。患者さんが電話番号を探しているその場所に、別の方法が見えている必要があります。
たとえば、ホームページの診療時間の表のすぐ下に、予約や質問の入口がある。LINEで友だち追加している患者さんは、トーク画面から予約や質問ができる。休診日の夜に「明日は開いていますか」と調べた患者さんが、その場で答えを見つけられる。電話をかけようとしたその場で別の手段が目に入るかどうかで、結果は変わります。
休診日や診療時間外の問い合わせも、ここで考えておきたいところです。留守番電話に残された用件は次の診療日の朝に折り返すことになり、そのあいだに患者さんが別の医院を探してしまうこともあります。時間外でも答えが返ってくる窓口があれば、予約や確認の用件は、医院が閉まっているあいだにも受けられます。
書いてあることを電話で聞かれるなら、書き方も見直してみる価値があります。初診の費用の目安がページの下のほうに埋もれていないか。休診日の表記が、祝日のある週にも分かるようになっているか。患者さんが電話で口にした言葉をそのまま見出しに使うと、探している人に届きやすくなります。
分けたあとに、受付に残る電話
中身を分けて、移せるものを移しても、受付の電話はなくなりません。残るのは、急ぎの相談、電話を選ぶ患者さんからの連絡、そして込み入った予約の調整です。どれも受付の人が時間をかけて向き合いたい電話です。電話対策の手応えは、本数の多い少ないより、こうした電話に落ち着いて手が回るようになったかどうかで測るとよいと思います。
用件の内訳は、季節や曜日によっても動きます。長期休みの前には予約の電話が、新しい診療を始めたあとには確認の電話が増える、といった動きが見えてくると、先回りしてホームページの案内を書き足せます。紙一枚の記録は、ときどき取り直してみてください。
DentHub は、一つめの予約と二つめの確認にあたる「よくある質問」と「予約」を、ホームページのチャットとLINEでAIが受ける仕組みです。医院が確認した情報をもとに答え、答えられない質問には、お電話でのお問い合わせや折り返し連絡の希望受付をご案内します。診療時間中は自動で返信しない設定もできるので、電話をなくすのではなく、要る電話だけを受付に残すために使っていただけます。
